認知症に対する理解と接し方のコツ

Aさん

家族が認知症と診断されました。一緒に暮らす上でどのようなことに気を付けたらよいでしょうか?

スーパーケアマネ

認知症と診断されたのですね。認知症の方と接する時のポイントをお伝えする前に、まずは認知症のメカニズムについて説明しましょう。

目次

認知症のメカニズム

認知症への理解を深め、その行動やコミュニケーションの難しさを知りましょう

認知症は脳の細胞が損傷を受けることで起こり、記憶障害や判断力の低下など様々な症状が現れます。主な認知症の種類にはアルツハイマー型、脳血管型、レビー小体型などがあり、それぞれ異なる特徴があります。

アルツハイマー型認知症

認知症患者の約半数を占めています。脳の神経細胞が変性して一部が萎縮していく過程で発症します。脳の神経にたんぱく質の一種である「アミロイドβ」や「タウ」が蓄積することが原因と考えられています。
特徴としては、記憶障害や見当識障害から始まり徐々に進行することが挙げられます。

脳血管型認知症

認知症患者の約2割を占めています。脳の血管障害によって生じます。血管性認知症の原因は、脳出血や脳梗塞など脳内血管に起こる何らかの障害とされています。
特徴としては、記憶障害や判断力の低下が段階的に悪化していくことが挙げられます。

レビー小体型認知症

アルツハイマー型認知症の次に患者数が多いとされる認知症です。脳の神経細胞が減少することで発症します。レビー小体型認知症は、レビー小体と呼ばれるたんぱく質のかたまりが、脳の神経細胞を壊すことで起きます。
特徴としては、幻視やパーキンソン症状が挙げられます。

前頭側頭型認知症

若年層に起こりやすい認知症です。前頭側頭型認知症は前頭葉や側頭葉の萎縮が原因で起こります。
特徴としては、人格の変化や社会的行動の問題が起こることが挙げられます。

現在のところ、認知症の多くは進行的な疾患であり、完全な回復が期待されるものではありません。しかし、早期の診断と適切な治療・ケアが行われると、症状の進行を遅らせることや、患者の生活の質を向上させることが可能です。研究や治療法の進展により、将来的にはより効果的な治療法や予防策が見つかる可能性もあります。
認知症の症状が疑われた時はかかりつけ医院や専門医の受診をおすすめします。

認知症の方と接する時のコツ

認知症の方との接し方にはいくつかのポイントがあります。まず、認知症の方が感じている不安を受け止め、否定や叱責を避けることが重要です。認知症の方の言動に対しては、本人のプライドや尊厳を守る接し方を心がけましょう。褒める、感謝する、相槌を打つことで、認知症の方の「快」の感情が蓄積され、ポジティブなコミュニケーションが促されます。

  • 穏やかな態度と声のトーン
  • シンプルで具体的な言葉
  • リラックスした環境
  • 感情を尊重する
  • 対等な関係を築く
  • 自己ケアの重要性

穏やかな態度と声のトーン

認知症の方と接する際には、穏やかで優しい声を使い、ストレスを与えないよう心がけましょう。高齢者の場合、聴力が低下していることも多いため、はっきりとした声でゆっくり話すことが大切です。急かしたり、無理に説明することは避けます。

シンプルで具体的な言葉

簡潔で具体的な言葉を使い、複雑な説明や指示は避けます。例えば、「お茶を飲みましょう」と具体的な提案をする方が理解しやすいです。

リラックスした環境

安全で予測可能な環境を提供することが大切です。認知症の方が安心して過ごせるような空間作りを心がけます。

感情を尊重する

認知症の方が感情的になったり、困難に直面したときには、ただそばにいて共感し、サポートする姿勢を示します。

対等な関係を築く

目線の高さを合わせてコミュニケーションを取ることを心がけましょう。認知症の方にも感情はありますので、ほめる、感謝する、相槌を打つなどの肯定的な反応を示すことで安心感を与えます。また認知症の方と接するときは本人の表情をよく見ることで気持ちを理解し、共感を示すことで不安を和らげる効果が期待できます。

自己ケアの重要性

認知症を介してのケアは精神的にも肉体的にも負担が大きい場合があります。自分の感情やニーズを無視せず、定期的に休息を取ることが重要です。

スーパーケアマネ

これらのポイントを意識して、日々のコミュニケーションやケアに取り組むことで、認知症の方との関係がより円滑になることが期待できます。
また、地域のサポートグループや専門家からの支援も有効ですので、必要に応じて利用することも検討してください。

気を付けるところ

認知症の方と接する際に、以下のような点に気をつけることが重要です。これらは認知症の方の尊厳を守り、安全で穏やかなコミュニケーションを促進するためのポイントです。

  • 行動や発言を否定しない
  • 大声を出さない
  • 急かさない
  • 自尊心を傷つけない
  • 行動を過度に制限しない

行動や発言を否定しない

認知症の方は否定されると興奮したり不安になったりするため、肯定的なコミュニケーションを心がけましょう。

大声を出さない

大声は認知症の方に恐怖を与える可能性があります。穏やかな声で話すことが重要です。
認知症の方が混乱したり、誤解をしたりすることは避けられないことです。その際に怒ったり叱ったりすることは、相手に不安やストレスを与えるだけでなく、関係を悪化させる原因にもなります。穏やかで理解ある態度を心がけましょう。

急かさない

認知症の方は動作に時間がかかることがあります。焦らせず、ゆっくりと待つことが大切です。
また、認知症の方は変更や予期せぬ出来事に敏感に反応することがあります。そのため、日常生活や環境において、無理な変更や突然の切り替えを避けるようにしましょう。変更が必要な場合は、ゆっくりと段階を踏んで調整することが望ましいです。

自尊心を傷つけない

「できないの?」などの言葉は避け、尊厳を保つように接しましょう。子ども扱いをせず、大人としての尊厳を保ち、対等な関係を築くことが大切です。
たとえば、何かをやり遂げるのに手伝いを申し出たり、身の回りのことを代わりに行おうとすることは、認知症の方の自尊心を傷つけることがあります。必要な支援は提供しつつも、自立を尊重することが大切です。
できる範囲での役割や活動の場を与え、自信を持てるように支援しましょう。

行動を過度に制限しない

認知症の方が周囲の危険を認識できないことがあります。そのため、安全を確保するための対策を講じることが重要です。例えば、家の中の危険物の管理や、外出時の同行などが該当します。一方で、必要以上の制限は自信を失わせる原因にもなります。安全を確保しつつ、自由を尊重しましょう。

スーパーケアマネ

高齢者の方で認知症の症状だけが出ているケースはまれです。
適切な介護サービスを受けるためにも介護認定を受けることを検討しましょう。

老人ホーム紹介センター
介護認定ってどうやって受けるの? - 老人ホーム紹介センター 介護認定には要支援と要介護の2種類があります。介護とは利用者の生活の質の向上を目指すものです。主治医や管轄の行政サービスに相談します
スーパーケアマネ

介護施設への入居のご相談はこちらから ↓↓

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次