目次
はじめに
日本の介護現場は、超高齢社会と人手不足という二重の課題に直面しています。こうした課題を解決する手段として注目されているのが、ICT(情報通信技術)の活用です。2024年の介護保険法改正では、ICT導入の推進が明記され、国を挙げた支援体制も整いつつあります。
ICTとは?介護現場での役割

ICTは、情報通信技術を活用して業務効率を高め、情報共有をスムーズにする仕組みです。介護分野では、以下の場面で活用されています。
- 電子カルテ・介護記録ソフト:記録のデジタル化と迅速な情報共有
- 見守りセンサー・AIカメラ:転倒や離床の検知、夜間の安全確保
- 勤怠・給与管理システム:スタッフの勤務状況をリアルタイムで把握
- チャットツール・インカム:職員間の円滑な連携
- テレケア・遠隔診療:医療機関との連携強化
ICT導入のメリット
1.業務効率化と時間創出

- 手書き記録からの脱却により記録時間を大幅に短縮
- 情報検索や共有がスムーズになり、ミスや伝達漏れを防止
- スタッフが利用者との直接ケアに集中できる時間が増加
2.ケアの質向上

- バイタルデータや生活パターンを分析し、個別ケアプランの精度向上
- 見守り機器による転倒・異常行動の早期発見
- 遠隔診療で専門医のアドバイスを迅速に受けられる体制
3.スタッフの負担軽減と職場環境改善

- 業務の自動化により、長時間労働や精神的負担を軽減
- ICT環境が整った職場は、若手人材の定着率向上にも貢献
4.利用者・家族の安心感向上

- 状況をリアルタイムで把握できることで家族の安心感が向上
- オンライン面会や情報共有により、孤立感を軽減
ICT導入の課題と対策
課題 | 解決策 |
---|---|
初期コストが高い | 国の補助金制度を活用(最大250万円) |
機械操作への不安 | 操作研修・マニュアル整備・段階的導入 |
セキュリティ対策 | 端末認証・ウイルス対策・アクセス権限管理 |
業務フローの変更 | 現場の声を反映した導入計画とサポート体制 |
国の支援制度と今後の展望

- ICT導入支援事業:介護ソフトやタブレット、見守り機器の購入費用を補助
- 介護情報基盤(2026年施行予定):ケアプランや認定情報の全国共有を可能に
- 介護報酬加算制度:ICT導入による生産性向上が評価対象
まとめ

ICTの活用は、介護現場の「働き方改革」だけでなく
利用者の生活の質(QOL)向上にも直結します
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